最善の利益とは手続きを尽くすこと

安芸高田モデルは、「こどもの最善の利益」そのものを、施策選択・制度設計・個別判断の“直接の基準”とはしていない。


1 安芸高田モデルにおける位置づけ(結論)

安芸高田モデルでは、
「こどもの最善の利益」は結論基準ではなく、判断の在り方を規律する“手続的原理”として位置づけられている。

つまり、

  • ❌「この施策が最善かどうか」を行政が単独で決める基準
  • ⭕「最善を尽くそうとしたか」「その過程が適切だったか」を問う基準

2 では、何が「基準」なのか

安芸高田モデルで、施策選択・制度設計・個別判断の直接の基準となるのは、

  • こどもの尊厳
  • 権利主体性
  • 非差別
  • 思いや願いの尊重(意見表明・参加)
  • 成長・発達の保障

といったこどもの権利そのもの

これらを判断の軸(判断枠組)とし、そのうえで、

その判断は、
こどもの最善の利益を真剣に検討する過程を経ているか

が問われます。


3 「最善の利益」を基準にしない理由

(1) 内容基準にすると、判断がブラックボックス化する

「最善の利益」を結果基準にすると、

  • 行政・大人の価値観による一方的な決めつけ
  • 「最善だから説明不要」という免罪符化 が起きやすい。

(2) 条約解釈(子どもの権利委員会の一般コメントNo.14))との整合性

こどもの最善の利益は、

  • 単一の正解がある概念ではない
  • だからこそ比較・検討・説明の手続が不可欠

安芸高田モデルは、この理解を前提にしている。


4 安芸高田モデルの構造

安芸高田モデルを正確に言い表すと、次の構造です。

  • 判断基準
     → こどもの権利(複数の権利の束)
  • 判断の方法・規律
     → こどもの最善の利益を真剣に検討する手続
      (意見把握・比較考量・理由付け・記録)
  • 説明責任の対象
     →
      ・なぜその選択をしたのか
      ・なぜ他の選択肢を採らなかったのか
      ・こどもの思いや願いをどう扱ったのか

5 一文で整理すると

安芸高田モデルは、

こどもの最善の利益を
「決めるための答え」ではなく、
「決め方を縛る原理」として位置づけ、
そのうえで、
こどもの権利を判断基準として行政判断を行うモデル